Walking and depicting a situation, a simple despair, a moonscape was there

 

​歩行と状況描写、素朴な絶望、そこにあったのは月面

HD video, photo, loudspeaker, paper, bell / 2017

これは、ある一人の男の文章を拡声器を使い歩きながら語り、その行為を記録した映像です。彼が書いた文章とは、山形県にある蔵王連峰を徒歩で頂上まで歩いた記録と、その時の彼の思考状態を表したものでした。彼は、特に登山・サバイバル・アウトドア的な所に普段から身を置く訳でもなく、普通の生活をおくっていた。後に、蔵王連峰は彼の遊び場の一つにはなるものの、その時はただただ徒歩で登頂してみようと思い、衝動的に実行した、と言っていた。少ない所持金と身体一つ(リュックなどの装備は一切ない)の無防備な状態で登頂を試みた彼と、その記録の文章は僕を惹き付けた。彼の文章には、淡々と素朴にその時の状況が書かれ、故に普通のリアリティーがそこには存在した。僕は彼の文章(2部構成)が書かれた手紙を持ち、蔵王へ向い、彼が見たであろう光景を想像し、その場で彼の文章を語った。麓と頂上、二ヶ所の象徴的な場で拡声器を使い語られる彼の文章は、彼の歩行と目にした景色を追体験する様に感じられた。

撮影後、頂上付近にあった岩が気になり部屋に持ち帰った。普段、そういうものを持ち帰る事はしないのだが、持ち帰ってみると随分愛着がわくものだった。ふとそれを見ると、その時彼が目にした光景と、もうここにはいない彼の事を思い出したりするものだった。

Video

year: 2017

material: HD video, photo, loudspeaker, paper, bell

time: 7:51min

performer : Hideki Ozuchi

text : Bunichiro Otomo

camera: Yuko Nemoto

translation: Sakura Koretune

Video

year: 2017

material: HD video, photo, loudspeaker, paper, bell

time: 13:33min

performer : Hideki Ozuchi

text : Bunichiro Otomo

camera: Yuko Nemoto

translation: Sakura Koretune

© Hideki Ozuchi