私はこれまでに空洞化した市街地や、消滅した廃村・廃道を舞台とし制作を行ってきました。
そこは近代化や資本主義の時代の流れから、ある意味立ち現れた場であり、人々の様々な理想を更新し現実化するにあたり、人々がいなくなった場所です。
新型コロナウイルスの治まりが見通せない状況が続いている中、人々のいなくなった(使用しなくなった)このような場は、奇しくも新型コロナウイルスからは安全な場として成立します。
芸術や人間の思考はその想像力と拡張に希望や発見を見出せます。と同時に、目には見えない存在や表出しない出来事、想像ゆえの偏ったリスクもまたあるかと感じています。
私は近年制作をする過程で、偶像であり自然や人との密接な関係や状況が語られてきた古代ギリシャの神々を参照にしてきました。
神ではなく神々であることや、その実際的な物語。当時の様々な哲学者と哲学に興味を抱いています。
今回はそのような制作過程の中、宮城県石巻市にある分断された廃道にて、人類に火を与えたとされるプロメテウスのポージング撮影を行いました。
古代ギリシャの神々の肉体と、その善悪全てを兼ね備えた理想の美。現代人の飽くなき欲望から進められる造られた理想の美。現在の人と人との距離としての理想の美。様々な理想の美を重ね合わせた撮影を行いました。
※@Beaconについて。
作品と空間との関係性を新たに模索するプロジェクト「Beacon」。webを使用した随時更新企画。2021年7日7日に公開。
参加作家が各自メディアや場所を選択し、その試みをアーカイブしていくプロジェクト。
still photo
year: 2020
material: 4K video, loudspeaker
performer: Hideki Ozuchi
support: Yuko Nemoto
@ Ogatu , Ishinomaki
Photographing the gods / Ideal beauty @Beacon
神々の撮影 / 理想の美 @Beacon
4K video, loudspeaker / 2020